大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

3、雪だるまのオバケ- 珍しいオバケ

驚いている正太を見つめながら、 「なにをおっしゃいますか、正太さん。 夢なんかではありませんよ」 と、宙に浮いた雪ダルマの声は落ち着いていました。 「だっ、だって。・・・それに、 どうしてボクの名前しっているの?」 「えっ、えーと、わたし、あな…

2、雪だるまのオバケ- オバケがでた

寒空のした、学校からの帰り道をいそぐ正太。 歩きながらも、ふと気づくと、鼻先をヒラリと白い ものが過ぎていくのでした。 「わ~~雪だ! やっと、降ってきた」 正太はジャンパーのポケットに両手を入れて、 遠くの空を見上げていました。 「積もったらい…

1、雪だるまのオバケ - 雪遊びができない

どんより曇った真冬の朝でした。 正太は、ランドセルをカタカタ鳴らしながら、 ようやく小学校の校門をくぐりました。 そして、校舎に入り、冷え冷えとした廊下を 歩いていくと、朝の教室はワイワイガヤガヤと、 騒がしさでいっぱいでした。 「おい、正太、…

5、小熊のクーちゃんと川の神様 – 元の姿に戻るクーちゃん

川の神様を目の前にしたクーちゃん。 緊張しながら、 「あの~、これ、川の神様に食べてもらおうと思って」 と、ビクビクしながら水草のサラダを差し出すのでした。 それを見た川の神様はうれしそうに笑いながら、 「おお、これは水草のサラダじゃないか。 …

4、小熊のクーちゃんと川の神様 - 妖精のイタズラ

水の妖精のおねえさんは、 クーちゃんをみてニッコリとしながら、 「あなたね、この水草のサラダを持って川の神様 に差し上げてらっしゃい」 と言うのです。 そう言うと、水の妖精のおねえさんは、 その水草のサラダの上から、なんとお塩をタップリ と振りか…

3、小熊のクーちゃんと川の神様 - 水の妖精のおねえさん

「あら、あなた、どうしたの。どうして泣いているの」 そのとき目の前に現れたのは、水の妖精のおねえさんでした。 さっきから泣いているクーちゃんの様子をうかがっていた のでしたが、あまりに気になったので声をかけたのでした。 透きとおるような白い輝…

2、小熊のクーちゃんと川の神様 - お魚に変えられるクーちゃん

川面にちょっとだけ顔を出して様子をうかがう川の神さま。 怒ったコワイ顔をして川原を見回すと、 小熊が小石を川に向かって放り投げながら、 楽しそうに遊んでいるではありませんか。 「さては、あいつじゃな。よくも、このわしの頭を! よーし、奴を川に引…

1、小熊のクーちゃんと川の神様 - 石投げ遊び

ある晴れた日、森に住む小熊のクーちゃんは、 お母さん熊と一緒に大きな川にやってきました。 お母さん熊は、その川で今晩のおかずの魚を捕るつもりです。 のっし、のっしと大きなお母さん熊は、 小熊のクーちゃんを川原に置いて、 川の中に入っていきました…

2、七色の虹と子ぎつねタプちゃん - 雨上がりの道でも走り続ける

雨上がりの道はグチャグチャです。 走りにくいったらありません。 それでもタプちゃんのワクワクした気持ちは、 雨上がりの道などに負けていませんでした。 「そうだ。お母さんにも虹を分けてあげよう。 きっと、よろこぶぞ」 タプちゃんは走りました。 大汗…

1、七色の虹と子ぎつねタプちゃん - 七色の虹が見える

ここは静かな森の中。 ついさっきまで、激しく降っていた雨が上がり、 お日さまが顔を出していました。 森は明るい日ざしでいっぱいになっていまいた。 いままで木々の間にかくれていた小鳥たちが顔を出しました。 小鳥たちは雨が上がったことを確かめるよう…

間違えたユウレイ16- キレイなユウレイのが太郎の頭上に

プかリプカリと太郎の頭の上に浮かぶ、キレイなユウレイのおねえさん。 上から太郎を見ながら、 「そっか、するとあたし、10歳も年下の彼女になるのか・・。 まあいいわ。いじめないでね、年下のあたしを・・」 自分の頭の上からユウレイのおねえさんに見…

間違えたユウレイ15 - ユウレイに憑かれた太郎

小学校のグランド。せっせと大きな雪だるまをつくっていた太郎と正夫。 と、どこからともなく握りこぶしぐらいの雪のかたまりが飛んできて、 太郎の背中に当たった。 「うえっ、やられた」 と言いながら、後ろを振り返る太郎。 だが、いくら見渡しても誰もい…

間違えたユウレイ14- まっ白な雪を踏んで歩く

つぎの朝、昨夜の大雪がウソのように晴れ渡っていた。 お日様が顔を出してキラキラしている。 一面に積もった雪がお日様を照り返してまぶしい。 いきなり家から出ると、慣れるまで眼を開いているのが、 ちょっとの間大変なくらいである。 太郎は、小学校へ行…

間違えたユウレイ13- 夜の街を歩く太郎とユウレイ

夜の街を歩く太郎とユウレイ。ふと、ユウレイが太郎を見て、 「風邪、ひかないでね」 と言って、ちょっと心配そうに微笑む。 「うん、だいじょうぶ」 腕を組んで背中を丸めた太郎は、寒くてふるえながら小さい声で答えた。 太郎のちょっと後をスス―とついて…

間違えたユウレイ12 - 一緒に歩く二人?

寒そうな顔をした父さん、 「雪、まだ降ってるのか?」 と言う。 「うん、けっこう積もっているよ」 と、ボクが答える。 「そうか、どうりで冷えると思ったよ。 しかし寒いのに物好きだな、おまえ。母さんが知ったら、またツノ出すぞ」 「平気だよ。それに友…

間違えたユウレイ11 - いつかどこかで・・

太郎は、壁にぶつけた頭の後ろを手でなでながら、 痛い頭でユウレイの様子を見ていた。 やっぱり恐い。しかし、それだけでもない。 太郎は、なぜだかユウレイのおねえさんが、 まったくの他人には思えなくなっていたのだ。 それどころか、 なぜだかいつかど…

間違えたユウレイ10 - 置き忘れた体

しんみりしているユウレイを見て太郎は、 「ボクでごめんね。・・ボクのせいじゃあないけど」 と、太郎なりに、やさしく言ってみた。 「そうね。わたし、もう一度がんばって、よしおさんを探してみるわ。 あなたには迷惑かけたわ。ごめんね。じゃあね」 と言…

間違えたユウレイ9 - 命の輝きを追って

じっと太郎を見つめるユウレイ。下を向き、 「でもねー、やっぱり、そのー」 と、なぜか急にモジモジとしはじめた。 「おねえさん、ユウレイなんだから、ヒョイと会いにいけばいいのに」 「えっー、これからっー。だってもう夜も遅いしねー」 「あのぉー、ボ…

間違えたユウレイ8 - 好きな人がいる

「その時ね、ちょうど雪が降っていたの。だからよしおさんったら、 君のことはいつまでも忘れないよ。雪が降ったら、 君が会いに来てくれたのだって思うよって」 「それで、ユウレイのおねえさん、出て来たわけ?」 「そぉーなのよ。よしおさんの気持ちに、…

間違えたユウレイ7 - 恐怖体験中

とたんに、ジィッと太郎をにらむユウレイ。 「あんたね。ユウレイって、怒らすと恐いのよ。ほんとだからね」 と、ユウレイが言う。 太郎をにらんだユウレイの顔が、太郎はほんとに恐いと思った。 「ごめんなさい」 なにせ相手はユウレイだ。この世の者ではな…

間違えたユウレイ6 - やさしい言葉

太郎の怖がりぶりを見て、あわてたユウレイ。 「嘘よ、嘘、嘘。今時ね、そんなのいないって。安心しなさい」 と、言って安心させようとする。 「だからさー、なんでここにいるの?」 「わたし、間違えちゃったのよ。 てっきりこの家だと思ったんだけどなー。…

間違えたユウレイ5 - 化けて出る

「あっ、あのー。ユウレイさんって、本当に化けて出るんですね。ボク、はじめてだ」 太郎は恐る恐る、でもしげしげと、ユウレイをながめていた。 「化けて出るって? あなた、テレビの見過ぎじゃないの」 と、ユウレイがあきれた顔をする。 「だって、現にい…

間違えたユウレイ4 - ユウレイが怖い

全身でユウレイが怖い太郎。涙と鼻水で顔をくちゃくちゃにしながら、 “ボクは父さんと母さんの太郎だい”と、心の中で言い返した。 「雪が降ったら、いつも君を思い出すよってあなた言ったじゃない。だからわたし・・。ひどいわ、わたしを忘れるなんて・・」 …

間違えたユウレイ3 - お化けが出た~  

蒲団をかぶったまま、ブルブルと震えている太郎。 「おっ、お化けだぁー。お化けが出たぁー」 と言ったつもりだが、とにかく恐くて、 ふるえるやら口は乾くやらで、ほとんど声にならない。 “恐がらないで”と言われても、やっぱり恐い。 太郎は、蒲団の中でし…

間違えたユウレイ2-体が震える 

降る雪で外はもやって見える。 家々の屋根が、白くくすんだ灰色の様になっている。 立ち木のこずえにも、雪が積もっている。 のっぽの電柱が雪の帽子をかぶっている。 ところどころの電線にもやっぱり雪が乗っている。 ずっと見渡すと、あたり一面雪でいっぱ…

間違えたユウレイ1-大粒の雪

雪の降るしずかな夜だった。 太郎はベッドに入ったまま、パッチリと目を開けていた。 なぜか今夜にかぎって、ぜんぜん眠れない。頭もすっきりとしている。 さっきからずっとそうだが、部屋の小さな電球が眼について離れない。 おかげでうっすらとだが、部屋…

6、愛犬ポポの物語-犬から見た順位とは

要するに、ボクと姉、どっちが上でどっちが下か。 自分も含めて、犬から見た縦の順位に従って行動する、 それが犬というものなのです。 これは、先祖であるオオカミたちが群れて生活していた頃の名残です。 1つの群には徹底した縦社会が構築されているので…