大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

1、迷い込んだ文鳥 – 欲しかった文鳥 

それは夏休みが終わってすぐの、

ある晴れた日の午後でした。

 

小学五年生の一平は、学校から帰ると、

二階にある自分のお部屋で寝転んでいました。

 

まだまだ、暑い日が続いていました。 

 

開け放したお部屋の窓から、ミーン、ミーンと、

しつこいほど耳につくセミの声と、

涼しい風が入ってきます。

 

窓から見える空には、

ポッカリと白い雲が浮かんでいました。

 

心地よい風が、一平の顔にあたります。

 

一平は、耳にまとわりつくセミの鳴き声

を聞きながら、うつらうつらとしていました。

 

セミの声が、だんだん遠くなりかけた時です。

とつぜん窓から、パサパサと、何かが羽ばたく

音が聞こえてくるのです。

 

「なんだ?」

驚いた一平が、半分寝ぼけた顔をぼんやりむけると、

なんと、畳の上にはまっ白いキレイ小鳥が迷い

込んでいたのでした。

 

「わー、これ、文鳥だ」

一平は、びっくりしました。目をまん丸くして、

迷い込んだ白文鳥 を見つめていました。

 

ふと、窓が開いているのに気づいて、とっさに、

でもそぉーと立ち上がり、横目で文鳥を見ながら、

窓に近づきました。

 

そして、静かにゆっくりと、せっかく迷い込んできた

白文鳥を逃さないように、、あみ戸を閉めたのでした。

 

「わーい、やった、やった」

顔をニンマリとさせた一平は、

小さな声で叫んでいました。

 

前からこういう文鳥がほしいなぁって思って

いたのです。

それが、いきなり、

文鳥の方から飛び込んでくるなんて。

 

「こんなことって、あるの?」

一平はもう、うれしくてワクワクしながら、

迷い込んできた真っ白でキレイな文鳥

ながめていました。

 

文鳥は、よほど人に慣れているのか、

それとも大胆なのか、一平がいても平気でした。

 

パサリと羽を広げて、一平の机に飛び移り、

自分がどこに来たのかを確かめるように、

あたりを見回し始めました。

 

小さな頭をヒョコヒョコ動かしたり、

真っ白い羽で羽ばたくまねをしたりすると、

チィチィチィと鳴いていました。

 

そしてまた、一平の部屋を見回しているのでした。

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