大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

8、迷い込んだ真っ白でキレイな文鳥 - 呆れ顔の一平

 

ピンク色のくちばしを震わせながら、

一平を見つめる文鳥のシロ。

 

そんなシロに向かって、

「お前だって家族の一員なんだよ。

そんなお前を嫌うやつがあるかい」

と、言ってやりました。

 

「そうでしょうか」

「うん、そうだよ。そんなの決まっているじゃん」

と言うと、ニコリと頷く一平。

 

すると、文鳥のシロは、目を輝かせながら、

「ありがとう」

と、きちんと顔を上げ、

はっきりとした声で一平に応えていました。

 

部屋の明りに照らされた、まっ白なシロのからだが、

一平の目に映っていました。

 

こんな小さな文鳥でも、思い悩むことがあるんだ

なと思うと、かわいそうで仕方ありませんでした。

シロが、広げたつばさのつけ根にくちばしを当てて、

なにかもぞもぞとしています。

 

どうやら羽の手入れをしているようです。

 

机に頬杖をついた一平は、黙って、

そんなシロを見つめていました。

 

シロはすぐに向きなおって、

また一平を見上げていました。

羽の手入れを終えたピンク色のくちばしが、

また小さくパクパクと動いていました。

 

「でも、わたし、ミーチェの話しを思い出すと、

今でも悲しくなってきます」

「えっ、だれだって?」

「ミーチェです。わたしたちの家の辺りを縄張

りにしているご近所のネコです。

わたしとクロが話しをしていたら、

ちょうど通りかかったんです。そこで、

相談にのってもらったんです」

 

一平の口が、しばらくポカンと開いたままでした。

 

ポカンと口を開けたままの一平。

ようやく口を開くと呆れ顔で、

「こんどはネコかい。友だち、多いんだね」

と、言った。

 

「はい、なにしろ、わたしたちは人間に飼われ

ていますから、いろいろあって。

たいへんなんですよ、人間に飼われるって」

 

「そうかぁ、お前たちもたいへんなんだね」

「はい、そりゃもう、たいへんなんです」

「ゴメンね、ぼくも人間だった」

 

「いえいえ、あなたではありませんよ」

「うん、うん。そうだね」

と言うと、一平は何度も頷いていました。

 

「そこで、わたしたちは、人間とどうやって

つき合っていくのか、そのためには、

何をするべきか、どうしたら、じょうずに人間

に飼われることができるか、

なんて話し合っているんですよ」

そこでいったん息継ぎをする文鳥のシロ。

続けて、

「相談相手は少しでも多いほうがいいじゃあない

ですか・・」

と、言った。

「うーん、やっぱり、そうかなぁー」

呆れ顔のまま何となく頷く一平。

「はい。それはもう・・」

一平は、なんだか、頭が痛くなってきました。

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