1、小熊のクーちゃんと川の神様 - 石投げ遊び
ある晴れた日、森に住む小熊のクーちゃんは、
お母さん熊と一緒に大きな川にやってきました。
お母さん熊は、その川で今晩のおかずの魚を捕るつもりです。
のっし、のっしと大きなお母さん熊は、
小熊のクーちゃんを川原に置いて、
川の中に入っていきました。
大きな手を振りかざすと、水面を打つように、
「よいしょ」
と言いながら、お魚たちを追いかけていました。
お母さん熊に捕まらないよう、ピョンピョンと飛び跳ねながら、
魚たちは必死で逃げていました。
そんなお母さん熊の様子を、しばらく黙って見ていたクーちゃん。
だんだん退屈になってしまいました。
辺りを見渡すと、川原には石がいっぱい。
ふと、思いついたクーちゃん。
手頃な小石を手に取ると、川に向かって、
「えい!」
と、力いっぱいに放り投げていました。
小石は川面に当たると跳ね返り、
まるで飛び跳ねるように一度二度川面を叩くと、
沈んでいくのでした。
そんな石投げ遊びが気に入ったクーちゃん。
「おもしろ~い!」
と言って、つぎからつぎへと小石を手に取っては、
石投げ遊びをしていました。
ところが、その時、たまたま近くの川底にいた川の神様。
クーちゃんが石投げ遊びで投げた小石の一つが、
川の神様の頭にポカリと当たってしまったのです。
怒った川の神様。
「誰じゃ、わしの頭に石を放ったやつは・・」
と、カンカンに怒って、顔を真っ赤にしていました。