大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

便利な空飛ぶ古新聞5 - 不便になった古新聞

 

みんなが古新聞に乗って出かけるようになったために、

空の上がガヤガヤと大騒ぎになってきた。

 

それはもう、渋滞なんてもんじゃない。

 

みんながみんな空の上で大混雑していた。

ママのお買い物もパパの通勤にしても、

それはやっぱり同じだった。

 

その上、雨でも降ろうものなら、

それこそ大騒ぎになった。

なにせ空の上だ。身体のまわりにさえぎる物なんてない。

 

古新聞はもちろん紙だから、ぐちゃぐちゃになる。

そこに強い風でも吹こうものなら、

さらに操縦が難しくなって大混乱となるのだった。

 

しばらくすると、ぼくたちはもう古新聞に

乗らなくなっていた。

 

「わたし、もう古新聞に乗るのはやめるわ」

と、ママが言う。それを受けてパパが、

「空の上は大混雑で、あやうく会社に遅刻しそ

うになったよ」

と、ママに返す。

 

その結果、ぼくたち一家は、もう、

古新聞には利用しないことにした。

 

「よく考えたら、落ちたら危ないしね」

と、ママがボクの顔を見ながら言う。

 

パパもそうだそうだと言わんばかりに、

首をたてに振っている。

 

ぼくは少しだけ残念な気持ちがあったが、

ママたちの言う通りにすることにした。

 

そんなことで、ママもぼくもテクテク歩くこ

とにしていた。

 

もちろん、パパも以前のように、バスや電車で

通勤するようになっていた。

そりゃそうだ。だって、そのほうがぜんぜん早いだもん。

おわり

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