3、雪だるまのオバケ- 珍しいオバケ
驚いている正太を見つめながら、
「なにをおっしゃいますか、正太さん。
夢なんかではありませんよ」
と、宙に浮いた雪ダルマの声は落ち着いていました。
「だっ、だって。・・・それに、
どうしてボクの名前しっているの?」
「えっ、えーと、わたし、あなたのことが分かるんです。
そのぉ、テレパシーで。
それで、失礼ながら勝手に知りました。
どうも・・。そっ、それから、
わたしのことなのですが・・」
炭で描いたような丸い口が、パクパクと動いています。
大きく見開いた正太の目が、
しげしげとその口を見つめているのでした。
「・・なんか、そんなに見つめられると照
れちゃいますね。わたしってめずらしいですか?」
「うん。めずらしい! とってもめずらしい!」
正太は雪ダルマに向かって、
何度もコクンコクンと頷いていました。
「そうですかねぇ~。そうでもないのですがねぇ~」
「いいや、めずらしい。めちゃくちゃに、
とんでもなく、めずらしい!」
「・・そうですか。えっ、えーと、
それでわたしの事ですが、カンタンに言いますと、
わたし雪ダルマのオバケです。おくれましたけど、
はじめまして」
「オッ、オバケなの!」
「はい、オバケです。どうも・・」
と、雪ダルマのオバケがすました様子で言う。
正太の口が、またまたポカーンと開いていました。