大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

4、迷い込んだ真っ白でキレイな文鳥 - 話しかける一平



思いっきりあせった一平は、あんまりびっくりした

ので、言葉が途切れて出てきませんでした。

 

でも、白文鳥のほうは落ち着いたもので、

「最近では、カラスさんだって、スズメさんだって、

みんな、よくしゃべりますよ」

と、よくあることだと言うように、

澄ましているのです。

 

「そぉーなのぉー?」

腕を組んだ一平は、首を傾げていました。  

 

文鳥やカラスにスズメまでがしゃべる鳥

だったなんて、いままで全然、知りません

でしたから。

 

「ほんとう?」

「ほんとうですよ。だって、あなた、世の中進んで

ますからね」

「ふーん、そうだったのか。そりゃーすごいや」

 

「ほめていただいて、うれしいです。ありがとう。

わたし、シロと申します」

と言う白文鳥は、礼儀正しく一平にあいさつしました。

 

白文鳥のシロは、静かな眼差しで一平を見上げたまま、

真っ白いきれいな羽を、小刻みに動かしていました。

 

そして、ピンク色のくちばしを少しだけ開けると、

チィチィと、鳴くのです。

 

一平はしばらくの間、口もきけずにただ文鳥

シロを見つめていました。

 

それでも、ようやく気を取り直すと、椅子に腰かけ、

「ところで、お前、どこから来たの?」

と、話しかけていました。

 

なぜか急に、シロが元気をなくしてしまいしました。

いままできちんと一平を見上げていたのに、

まるで力がぬけたみたいに、ダラリと首をたら

してしまうのです。

 

シロの黒くて丸い二つの目が、部屋の明りに

照らされていました。

 

それがキラキラ輝くと、ポツリと一つ、

大きななみだがあふれ出てくるのでした。

 

「どうしたの?」

一平は、のぞきこむように、

シロを見つめていました。真っ白い羽におおわ

れたシロの顔がとても悲しそうです。

 

「どうも、すみません」 

と言うと、シロは顔を上げていました。

 

シロはなみだにぬれた黒くて丸い二つの目で、

じっと一平を見つめ返していました。

 

そして、気を取り直すと、ピンク色のくちばし

を小さく動かしながら、

「じつは、わたし、家出しちゃったんです。

それで迷ったあげくに、あなたのお部屋に‥」

と、消え入りそうな声で言うのです。

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