大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

間違えたユウレイ8 - 好きな人がいる

「その時ね、ちょうど雪が降っていたの。だからよしおさんったら、

君のことはいつまでも忘れないよ。雪が降ったら、

君が会いに来てくれたのだって思うよって」

 

「それで、ユウレイのおねえさん、出て来たわけ?」

「そぉーなのよ。よしおさんの気持ちに、こたえてあげようと思って」

 

はにかんだようにうつむいているユウレイの顔に、

太郎はニッコリしながら眼をむけていた。

 

「なによ?」

「好きだったんだね」

 

「えっ、まあね・・。でもね、わたし、病気になっちゃったでしょう。

それで、そのまんま死んじゃったしね・・。

でも、いきなり出ていったら、よしおさんもあなたみたいに、

やっぱり恐がるかしらね」

 

「ちょっとはね。でも大丈夫だよ。だって、おねえさんきれいだから。

きっとよしおさんも、おねえさんに合えれば喜ぶと思うよ」

「そうかしら・・。そう思う」

好きな人がいるというユウレイ。

 

はにかみ、うれしそうに、また照れくさそうに、

太郎に笑いかけていた。

「わたし、きれいかしら?」

 

「おねえさん、きれいだよ。ユウレイにしとくのもったいない」

「あらぁーっ、あなたって、いい子ねぇ」

「なんで死んだの? 死ななけりゃ、よかったのに」

 

「うん、うん。そうなのよねぇー。やっぱり人間は生きてなくちゃね。

いくら好きな人がいるっていっても、死んじゃったらねぇ。

生きてさえいたら楽しかったろうに。でも、病気じゃ、仕方ないか」

 

「そうか、病気かぁ・・」

白血病って、知ってる? 血液のガンなのよ」

 

「ふーん。ボク、よくわからないけど、けどさ、だいじょうぶだよ、

だって、ボクと話しているんだから。

よしおさんって好きな人がいるなら、その人とだって話できるでしょう」

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