便利な空飛ぶ古新聞4 - 空の大渋滞
ぼくたちは家にある古新聞を大いに活用していた。
雨の日以外は、どこに行くにも、古新聞に乗って
スーイと飛んで行くことができた。
どこに行っても、注目の的となれた。ちょっとした
有名人になった気分だった。
古新聞がこんなよいものとは思わなかった。
いままで、どうして捨てていたんだろう。
ところがだ。それからが、
よくなくなってきちゃったのだ。
なにせ、古新聞なんてどこの家にだってある。
車とは違う。一家に一台なんてもんじゃない。
おじいちゃんやおばあちゃん、親兄弟から赤ちゃんの
分まであって、しかもまだ余ってる。
もちろん、免許なんて面倒なものもいらない。
だから、あっという間に広まった。
みんながみんな古新聞に乗って、それこそ飛んで出歩いた。
みんながぼくたちのマネをした。
しばらくすると、空にも道ができた。
すると、片側通行のみだとか一時停止とかの、
道路標識のようなのが宙に浮いた。
自然にできた交差点には、信号機だって、
プカリプカリと宙に浮いている。
その他にも、いろんな規則も次々にできた。
とうとう大ラッシュがはじまった。
とくに朝が大変だ。
まっすぐにスイ―と飛んでいけば三分とかからない
学校までだって、途中、信号で止まったり渋滞
となったりして、それまでのようにはいかなくなった。