黒ネコニャン太の物語18 – お家に帰る
ミケ子をナンバーワンの女性猫だという怪獣のポーチ。なにがどうしてナンバーワンなのか、サッパリのニャン太。ともあれ、肝心のポーチが良ければそれでいいのだろうと思ってみたのだが、ふと、
「でも、他の女性猫だって、みんなそうじゃないか」
と、新たな問いを投げかけてみた。
「わからん奴だ。違いがわかんないかなぁ。それにあいつ、どんな奴にだって、いいとこ見つける天才なんだ」
「んっ、うん・・。まあっね・・」
「いや、おまえにはわからん。ともかく、あいつといると、そこがな、どんな場所でも、いいか、どんな場所でもだぞ、きれいなお花畑みたいになっちまって、キラキラと輝きだしちまうんだ。あんな女性は、めったにいない!」
と言う怪獣のポーチ。よっぽど照れくさいのか、プイィと横を向いたまま、ニャン太をおいて行ってしまった。
キョトンとしているニャン太。ペロペロなめた前足で、そのまま頭と顔をクリクリなでる。そろそろ、お腹がすいてきた。そう思ってみると、なるほどお日様が傾きかけている。
ご主人から独立するなんてことは、これっぽっちも思っていないニャン太。お家に帰ることは、ゴハンが待っているということだ。
その夜、家に帰ったニャン太は、タケシの膝で長くなっていた。
「おいっ」と、タケシが呼んだ。
それに対して、尻尾をヒョイと振って、
「なんだい?」
と答えるニャン太。同時に顔を上げてタケシを見た。
「おまえ、今日はどこまで散歩に行ってたんだ?えっ、おい?」
と、タケシが言う。
タケシの顔がニッコリと笑っているのでうれしくなった。じっとタケシの顔を見つめた。
「ニャーーァァン」
といって起き上がるニャン太。
タケシの鼻に自分の鼻を当てて、友情を示した。たけしがキャッキャとはしゃいでいる。ニャン太は平和な気持ちになった。だから、穏やかで幸せな気持ちにもなった。
おしまい