大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

間違えたユウレイ14- まっ白な雪を踏んで歩く

 

つぎの朝、昨夜の大雪がウソのように晴れ渡っていた。

 

お日様が顔を出してキラキラしている。

一面に積もった雪がお日様を照り返してまぶしい。

 

いきなり家から出ると、慣れるまで眼を開いているのが、

ちょっとの間大変なくらいである。

 

太郎は、小学校へ行く途中だった。

「よいしょ。よっ、よっ」

と、かけ声をかけながら、

ズボッズボッとまだ誰も踏んでいない雪の上を、

わざわざ踏んで歩く。

 

「おーい、太郎」 

後ろの方から声がする。同級生で友だちの正夫だった。

 

太郎と同じように、長靴で雪を蹴飛ばすように踏んで歩く。

「なあ、正夫」

「なんだ?」

 

白い息をハーハーと吐きながら息を切らせた正夫は、

太郎に顔を向けるとニコリとした。

 

「ユウレイって、いると思うか?」

「プッー、ハハッ」

太郎が大まじめな顔をしているので、

正夫は思わず吹き出してしまった。

 

それでも、やっとこ息を整えると、正夫も大まじめな顔をつくって、

「いない。ぜったいに、そんなのいない」

と、言い切った。

 

言いながら、なるべくまだ誰も踏んでいない、

キレイな雪の上を見つけては二人で踏んで歩く太郎と正夫。

 

「そうだよな。やっぱり、昨夜のあれは、夢だったのかなー」

「なんかあったのか?」

「ああっ、オレ、昨夜、ユウレイと会ったんだ。

ウソじゃないぞ。本当だぞ! 

きれいな顔したユウレイのおねえさんだった」

 

「夢だ、夢。だいたいあれって、夏に出るものだろ。

今、冬だぞ。しかもこんな、

めったに降らないような大雪の夜に出てくるユウレイなんているかい。

絶対にいない。コート着て、えり巻しているユウレイなんて、

可笑しくって、笑っちゃうよ」

 

「そうかなぁー、やっぱり夢だったのかな。

コートもえり巻きもしていなかったけど・・」

 

 

積もった雪を踏んで歩く太郎と正夫。

小学校につくと、校庭は一面、雪でまっ白になっていた。

 

太郎はもう、ユウレイのことなんかすっかり忘れていた。

教室にカバンを置くと、すっとんで校庭に飛び出していった。

 

正夫の言う通り、この辺りでこんな大雪はめったにない。

だからみんな、大はしゃぎで遊びはじめた。

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