大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

間違えたユウレイ15 - ユウレイに憑かれた太郎

 

小学校のグランド。せっせと大きな雪だるまをつくっていた太郎と正夫。

 

と、どこからともなく握りこぶしぐらいの雪のかたまりが飛んできて、

太郎の背中に当たった。

 

「うえっ、やられた」

と言いながら、後ろを振り返る太郎。

だが、いくら見渡しても誰もいないのだ。

 

「あれー? おっかしいなぁ?」

「太郎、どうした?」

キョロキョロしている太郎に、

一緒に大きな雪だるまをつくっていた正夫が聞いた。

 

「背中に雪玉があたったんだけど、誰もいないんだ。変だなぁ」

「流れ玉でも飛んできたんだろう。気にするな」

 

「そうかなぁ?」

確かに太郎と正夫の、ずっとむこうの方では雪合戦をしている。

 

しかし距離がかなりあるから、あっちから飛んできたとは思えない。 

 

太郎は、もう一度振り返り、辺りをキョロキョロと見回してみた。

けどやっぱり、近くには誰もいないのだ。

 

「まぁ、いいか」

と、言いながら、自分の鼻をつまんでいる太郎。

 

今は大きな雪だるまをつくることに熱中している。

 

だが、その頭の上には、昨夜のユウレイのおねえさんがいたのだ。

だれも見えないし、気づかない。

だが、さっきからずっと、太郎の頭の上の方にいたのだった。

 

「何が夢なのよ。この、薄情者!」

太郎は、雪だるまをつくり終わって、みんなと雪合戦をしていた。

 

みんなと一緒に楽しそうに笑い声を上げながら、雪合戦をして遊ぶ太郎。

 

そんな太郎を見つめながら、ユウレイのおねえさんがまた言った。

「・・やっと見つけたわよ、よしおさん。

じゃあなくて、今世では太郎君なのね。よしおさん、あなた・・・」

と、そこまで言うと、口をへの字に曲げるユウレイ。

 

「あなた、もうとっくに生まれていたのね。

わたし、全然、知らなかったわ。

やだぁ~よしおさん。そんならそうと、言ってくれても・・って、

あたし死んでたのね。ん~~ン」

と、唸りながら腕を組むユウレイ。

 

「いいわ、あたしも早速、生まれることにするわ。

そして、必ずあなたを見つけ出して、あなたの彼女になるの。

だって、あなた“ずっと一緒にいよう”って、

あたしに約束したんだからね。絶対、それ守ってもらうんだから」

と言いながら、じっと太郎を見つめるキレイなユウレイの目が、

ちょっとコワイ。

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