大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

4、愛犬ポポの物語 – 犬の散歩

 

さて、ポポを連れたボクたちの散歩。リードを外されたポポは、ボクなど放っておいてあっちに行ったりこっちに行ったり。そのくせ、しばらくするとボクの顔を見に来て、いることを確認すると、またどこかへ行ってしまうということの繰り返し。

 

そして、それは家に帰るときも同じでした。ぼくが先に家に着いてしまってポポが慌てて追いかけてきたり、逆にポポの方が先に家に帰っていたりなんてこともしょっちゅうです。そんなのが、ぼくたちの時代、つまり、昔の犬の飼い方というものでした。

 

もちろん、そんなことが出来たのは、まだその地域に自然がいっぱい残っていたからでした。今では田んぼも埋められ、川は塞がれ、畑も潰して、そこには人様が住む家が建ってしまいました。

 

かつてあった自然の風景など、もうどこにもありません。それでも、犬を連れて歩いている人はたくさんおられます。時代が進み時は移れど、人と犬の交わりに変わりはないようです。ただし昔とちがい、今ではしっかりとリードにつながれた状態ですけど。

 

今を生きるここの犬たちには、ぼくとポポが味わった豊かな自然というものが、もうまったくありません。ぼくたちのような昔の犬の飼い方はもう通用しないのです。糞もオシッコもぜんぶ自然が面倒見てくれた時代は、はるか昔になりました。

 

犬の散歩といっても民家の間を通り抜けて歩くしかなくなりました。人もたくさん増え、ぼくたちの時代のように散歩の途中、人っ子一人出会わないようなことはありません。車も走りますし自転車も通ります。子どもたちが遊んでいたり、お年寄りが杖を使っていたり、その様子は一変してしまいました。同じように、昔とは違い犬の飼い方も一変しているのです。

 

それは、もともと自然の懐に抱かれていたものが、人の世界へと犬たちを連れ込んでしまったことを意味します。そんな犬たちが、昔と同じようにイキイキと生きていくためには、そんな犬の飼い方を求めるのであれば、改めて、吠え癖や噛み癖などの“犬のしつけ”が不可欠。

 

それはもちろん、人の側の都合でしかないと見る向きもあります。でも、その人の都合を犬たちに、“しつけ”として覚えてもらわなければ、一緒に生活できないレベルにまで来ていることも事実なのです。

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