2、雪だるまのオバケ- オバケがでた
寒空のした、学校からの帰り道をいそぐ正太。
歩きながらも、ふと気づくと、鼻先をヒラリと白い
ものが過ぎていくのでした。
「わ~~雪だ! やっと、降ってきた」
正太はジャンパーのポケットに両手を入れて、
遠くの空を見上げていました。
「積もったらいいのにな~。
みんなで雪合戦やるのも楽しそうだ。
でもオレ、寒いの嫌だけどなぁ・・」
と、そんな独り言をつぶやいていると、突然、
一陣の風が吹いて正太を通り過ぎていきました。
冷たい風にブルっと肩をすぼめる正太。
すると、どこからともなく、
「そんなに寒いですか?」
と、正太に話しかける声がするのです。
「へっ、だれ?」
正太はキョロキョロとあたりを見回していました。
でも、誰もいないのです。
「おっかしいな~? 気のせいかなぁ?」
「いえいえ、そんなことありませんよ。
あなたの頭の上ですよ」
「えっ?」
と、言いながら、正太はクイィッと顔を持ち上げました。
すると、サッカーボールを二つ重ねたような、
小さな雪ダルマのようなものが、
ポッカリと宙に浮いているのです。
そして、炭で描いたような眉と目と口が、
正太にニッコリと笑いかけているのでした。
「こんにちは、正太さん」
と、いきなりあいさつする小さな雪ダルマ。
何だ、何が起こったんだと思うと同時に、
「えっ、ええ~~~」
と、ビックリしている正太。
あんまりビックリしたので、もう声も出ません。
目をまん丸くしてポカンと口を開けたまま、
ピクリとも動かない正太。
しばらくの間、ジイーと小さな雪だるまを見上げ
ているのでした。
「これは夢だ! 夢を見ているんだ!」
と、正太が叫んでいました。