大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

1、立派な森のかわら版 - 新婚ほやほやネズミの夫婦

 

まぶしい朝の太陽が森をてらす。

太い幹からあちこち伸びた枝に、たくさんの

緑の葉っぱが茂っている。

 

その中をゆっくりと風が通り抜ける。

ザワザワと葉っぱがゆれる。そんなこと

にも森の小鳥たちは驚く。

 

驚いて羽をばたつかせる。一羽が飛び立つと、

後から二羽三羽とそれに続く。

 

ピーピーと鳴きながら、お互いに誘い合っている。

森は明るい日ざしと騒がしさでいっぱいだ。

 

大きな木の下に小さな家があった。

ネズミの夫婦が住んでいた。ネズミの夫婦は

働き者同士だった。

 

中でも奥さんは、まだ若いながら近所でも評判

の働き者で、しかもなかなかの美人だった。

そんなネズミの夫婦は、まだ新婚ほやほやだった。

 

台所で奥さんが鼻歌を歌いながら、朝ご飯の支度

をしていた。

 

ようやく眼をさました夫のチュ―助が、ベッドから

抜け出した。

 

チュ―助はいつも朝寝坊だった。起きたばかりの顔

がまだ寝ぼけている。

 

頭もボンヤリしている。洗面所で、顔をバシャバシャ

やった。

 

両方の手のひらで、パンパンとホッペを叩いた。

タオルで顔を拭うとすっきりする。気分がいい。

窓から差し込む日ざしもまぶしい。

 

奥さんに「おはよう」と、元気よく言った。

ネズミの夫婦は仲が良かった。

 

と、急に真面目な顔になって、りっぱな森の

かわら版を手にとった。

 

森のかわら版は大切だ。ここに住む者にとって、

なくてはならないものだ。

 

チュ―助は、これ以上はないというほどの真剣

な顔で、森のかわら版をながめた。

 

一つ一つに眼を向けた。すみからすみまで全部

読んだ。森の出来事が手にとるようだ。

 

森で一番の知恵者であるフクロウのじいさんが、

病気で寝込んでしまった。

 

美人で評判の耳長ウサギのピョン子が、コンコン

村のキツネ村長の息子と、いよいよ結婚する。

森のかわら版はまったく詳しい。

 

また、ポンポコ小学校の子ダヌキのター坊が、

人間のおじいさんおばあさんに頭をなでられそ

うになった。

 

これは大変だ。アホが移ってしまう。

みんなもくれぐれも人間には気をつけよう、

と、いったような注意まで、森のかわら版は

ちゃんとしてくれる

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