大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

間違えたユウレイ16- キレイなユウレイのが太郎の頭上に

 

プかリプカリと太郎の頭の上に浮かぶ、キレイなユウレイのおねえさん。

 

上から太郎を見ながら、

「そっか、するとあたし、10歳も年下の彼女になるのか・・。

まあいいわ。いじめないでね、年下のあたしを・・」

 

自分の頭の上からユウレイのおねえさんに見られていることなど、

もちろん太郎は知らない。

 

将来のことなんかも知るはずがない。

今はただ、みんなと一緒に雪合戦で、

ワーワーと遊んでいるだけだった。

 

 

雪の積もった小学校のグランド。

その上をフワリフワリと飛んで、

太郎のそばをずっと離れないユウレイのおねえさん。

そのキレイな顔が、とても幸せそうに輝いていた。

 

それから、幾日かが過ぎていった。まだまだ寒い日が続いている。

その日は、夕方ごろからヒラリヒラリと雪が降ってきた。

 

夜、ベッドに入った太郎は、なぜか眼がさめて眠れなかった。

 

たしか前にもこんな夜があったなぁと頭の中で思いながら、

うっすらとした部屋のすみに眼を向けていた。

 

静かな夜だ。外は雪が降っている。

なぜか雪が降るといっそう静けさが増して、

まるで穴倉に引っ込んだような気持ちになるのは太郎だけだろうか。

「・・太郎君・・」

誰かが、太郎の名前を呼ぶ。

 

小さなでも透きとおるようなすんだ声で、

「・・太郎君・・」

と、またまた声がする。

 

「へっ?」

太郎は、いやな予感がした。

パッチリと眼を開けた太郎の眼に飛び込んできたのは、

やっぱりあの時のおねえさん、キレイなユウレイのおねえさんだった。

 

あの時と同じように、ボワッと白く淡い輝きに包まれている。

髪の長い白い顔が太郎を見て、ニッコリと笑っている。

 

「わたしよ、わたし。また、来ちゃった」

「ひぇーー! でっ、出たぁー」

「もうっ、恐がらないでって、言ったでしょう」

              終わり

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