大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

便利な空飛ぶ古新聞1- 古新聞の片付け

 

秋晴れの日曜だった。

その日、ぼくはママから物置の片づけを仰せつかった。

でも、本当は友だちのところへ遊びに行くはずだったのだ。

 

「だって、前からの約束だったでしょう」

と、ママの顔が怖い。

 

ニヤニヤとメガネの向こうでパパが笑う。

まったく親というのはワガママだ。

子どもの都合なんか考えない。

 

仕方ない、やってやるとするか。

 

ぼくは物置の戸を開けた。

いろんな物がメチャクチャに押し込んである。

これじゃ、片づけたくもなる。

 

なかでも、古新聞がけっこうある。

 

新聞屋さんに持って行ってもらえばいいのに、

忘れてたな。

 

新聞は毎日来る。これじゃ、溜まるのも無理はない。

 

そのうち、パパがきた。ママもやってきた。

みんなで仲良くかな? 

ともかく片付け仕事にかかった。

 

 

ぼくは古新聞から手をつけた。

物置から出す。膝ぐらいの高さに積む。

端をそろえながらヒモでしばる。

 

何度かそれを繰り返した。

 

次のゴミの日に出すのだ。

 

と、いきなりピューと風が吹いてきた。

抱えた束からパサリと一枚、古新聞が落ちた。

 

拾おうとして目を向けると、何やら細かい字で書いてある。

新聞だから当たり前なのだが、その内容が妙だ。 

 

『この新聞紙は、空を飛びます・・』

 

何だって? で、よくよく見ると、まだ続く。

 

『新聞紙よ、飛べ! と命令してください。

どこへでも、あなたを乗せて飛んでいきます』

と、書いてある。

 

そんなバカな。空飛ぶジュウタンなら、

聞いたことあるけど。ヘンなの。

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