4、立派な森のかわら版 – まじめ過ぎるチュー助
まじめ過ぎるチュー助の顔は、心配でたまらないという表情で、フクロウじいさんに言った。
「森のかわら版に、ちゃんと書いてあったからね。病人は寝てなくちゃいけないよ」
チュー助の声は、もはや心配を通り越して、まるで怒るような、責めるような調子だった。
「ええっ、森のかわら版にか? 知らなかった。わしが病人だったなんて。・・そういえば頭がボーとする。そうか、わし、病人だったのか」
「じいさんは、なんていったって森で一番の知恵者だからね。これからだって、いろいろ相談にのってもらわなくちゃいけない。そのためには、元気でいてもらわなくちゃ。だって、森のかわら版にそう書いてあるからね」
と、まじめ過ぎるチュー助は、森のかわら版にどこまでも忠実だった。
「うん、うん。そうじゃった。それじゃ、さっそく、寝るとしよう」
フクロウのじいさんは、弱々しく頷いた。変だなぁと思いながら、ベッドに入った。
でも、りっぱな森のかわら版にそう書いてあるのだから、きっと自分は病人なのに違いない。
そう思って横になってみると、なるほどそんな気がしてくる。森のかわら版にウソはない。あるはずがない。
こうして、フクロウのじいさんは、本当の病人になっていった。
一方、チュー助のほうは、すがすがしい気持ちだった。
顔が晴れ晴れと輝いている。やっぱり、良いことはするものだと、まじめ過ぎるチュー助は心から思った。
「こんにちは、チュー助のおじさん」
と、山道を外れた横の方から声がする。
ポンポコ小学校の子ダヌキのター坊だった。お母さんタヌキのため、煎じて飲ませる薬草をとっているところだったが、その手を休めて、ペコンとチュウ助にあいさつした。
ター坊のお母さんは、このところカラダの具合をこわして、床に伏せっていたのだ。
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