大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

間違えたユウレイ2-体が震える 

 

降る雪で外はもやって見える。

家々の屋根が、白くくすんだ灰色の様になっている。

立ち木のこずえにも、雪が積もっている。

 

のっぽの電柱が雪の帽子をかぶっている。

ところどころの電線にもやっぱり雪が乗っている。

ずっと見渡すと、あたり一面雪でいっぱいだ。

 

ブルンと太郎の体が震える。

「こりゃあ、すごいぞ!」 

こんなにたくさんの雪を見るのは、こちらに来て始めてだ。

 

それでもまだまだ足りないと言わんばかりに、

これでもかと、後から後から落ちてくる。

開け放った窓から入ってくる冷たい空気。

 

体が震えるのと同時に、

「ハッ、ハックション」 

と、太郎。

 

やっぱり寒い。

北海道で生まれ育ったとはいえ、某県に来てからというもの、

からだがこちらの気候に慣れてしまったようだ。

 

太郎は急いで窓を閉めた。

いそいそとベッドにもぐり込むと、

眼を閉じながらもブルブルと体が震える。

 

「・・よしおさん。よしおさん・・」

「んっ?」

誰もいないはずの部屋に、すき通るような女の声がする。

それは、まるでささやくような小さな声だった。

 

「気のせい、気のせい」

と、太郎がつぶやくと、

「よしおさん、わたしよ・・」

と、またまた声がする。

 

太郎は驚いて眼を開けた。するとベッドのすぐわきに、

ボワッと白く淡い輝きに包まれた、

髪の長い女の人がたっているのだ。

 

「ひぇーー、オッ、オバケー」

大あわてにあわてた太郎は、

ふるえる手で頭から蒲団をかぶった。

 

ブルブル、ブルブル、ガタガタ、ガタガタ。

 

小刻みに体が震える。口の中で歯が、

カチカチ音をたてている。血の気が引いて、

寒いのに額から汗がどっと出てくる。

 

それでいて心臓だけが、バクンバクンと大騒ぎしている。

「恐がらないで。わたしよ、雪子よ」

トップページ 次のページ

 

審査不要で誰でも契約可能!【おてがるモバイル】