黒ネコニャン太の物語8 – やっぱりネコはネコ
「でもやっぱり、ネコでしょう」
「わからないカラスだなー」
ニャン太が呆れた顔をする。
一方、カースケのほうは、ちんぷんかんぷんだった。不思議そうな顔が右に左にゆれていた。
「それなら、これじゃあどうだい?」
スクッと立ち上がったネコのニャン太。眼つき鋭く肩を怒らせ、歩いて見せた。
心の真ん中に強そうなライオンの姿があった。ニャン太の気分は、心は、もうすっかりライオンだった。
「ボクの姿、どう思う?」
「何か、嫌なことでもあったんですか?」
「どうして?」
「怒っているような歩き方ですね。ニャン太君にはにあいませんよ」
「そうかな? いつものボクより、ずっと強そうに見えないか」
「はいっ。でも、やっぱりちょっと、にあいませんよー・・・」
「カースケは、ライオンって、知らないのかい?」
「知ってますとも、ライオンぐらい」
「こんな感じで、歩いてたんだ」
ニャン太は、もう一度歩いて見せた。カースケの前を行ったり来たりした。顔を下げて前をにらむ。これから獲物を捕まえるような、敵に飛びかかろうとするような、そんな歩き方だった。
もちろん屋根の上には、獲物も敵もいなかった。
「でも、それってライオンでしょう。ニャン太君はネコじゃないですか」
「ネコとライオンは、シンセキなんだよ」
「そりゃまあ、そうですけど・・・」