11、迷い込んだ真っ白でキレイな文鳥 – 全部つながっている
シロは、高ぶる気持ちを落ち着けると、
「・・あなた、ご主人たちは感謝するど
ころか、なぜかすごく怒って、ミーチェを
追いかけ回すんですって。ミーチェは、
言っていました。
人間はどうして、こうも分からず屋なんだ
ろうって。わたし、ミーチェがかわいそう
になって・・」
またまた、シロの目に涙があふれていました。
ふるえるピンク色のくちばしを、しっかりと閉じて、
うるんだひとみを一平に向けているのでした。
「うーん。でもなぁ・・、それはなぁ・・」
と、少し唸る一平。そして、考え込んでしま
いました。
いきなりネズミの死骸なんか見せられたら、
だれだって怒るよなぁーと思う一平でした。
でも、黒くて丸い二つの目から涙があふれて
いるシロを見ると、何も言えない一平でも
ありました。
それにしてもよくしゃべる文鳥です。
一平は、だんだん眠くなってきました。
思わず大きなあくびをすると、
「あのー、わたしの話し、聞いています?」
と、すかさず文鳥のシロが、ピンク色のくち
ばしをパクパクさせているのでした。
「あっ、ああ。ちゃんと聞いているよ。
お前なかなか、いい奴なんだなぁ」
「わたし思うんです」
シロが胸を張って、真剣な真剣な眼差しを
一平に向けていました。
「ネコであれ犬であれ、わたしのような文鳥
であれ、カラスやスズメたち、草や木々たち、
それから、あなたたち人間でさえも、全部、
つながっているのじゃないでしょうか。
そのどれもが、そこになくてはならない大切
なものなのじゃないでしょうか」
一平はシロに気圧されながら、
「うっ、うん、そうかな。父さん、母さんと
つながってなかったら、ゴハン困るものなぁ」
と、ようやく口を開きました。
「ええ、そのうちの、たった一つが欠けても、
全部が不幸になってしまうような気がしません
か。だから、みんな、なか良くしなくちゃいけ
ないと思うんです」
「うん、うん。そうだね。きっと、そうだよ」
「あなたたち人間は、科学だの、文明だのを
発展させて、自分たちだけの幸せを求めすぎ
ていませんか・・」
「ゴメンなさい」
と、訳も分からず謝る一平。
一気にしゃべりまくるシロ。さっきまで、
目に涙があふれていたシロ。
でも、今はスッキリとしたひとみで一平を
見つめていました。