大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

3、黒ネコニャン太の物語り - ネコの散歩は大真面目

 

 

つぎの日、ニャン太はいつもの散歩道を歩いていた。ネコの散歩とはいっても、要は自分の縄張りの点検だ。

 

どこか知らないよそのネコが来ていないかどうか確かめる。クンクンあちこちかぎながら、縄張りを歩く。ネコの散歩は大真面目なのだ。

 

これをちゃんとやっておかないと、後々、面倒になることもある。うっかりする。よそのネコに縄張りを取られてしまうことだってある。だから、気楽なネコの散歩、なんていってはいけない。

 

なかなか大変で、ニャン太とはいえ、ネコの散歩とはいえ、けっこう大真面目なのだ。

「うん、よしよし」

 

ニャン太は、一本の電柱に鼻をあてながら、ひとりごとを言った。幸いにも今のところ、変わったニオイは発見しない。ホッとした。安心した。でも念のため、電柱に狭いオデコをこすりつけた。ますます安心した。

 

この安心が、つまりネコの散歩である。だから、大真面目にやる。自分のニオイがあると心がおちつく。そうしてまた、つぎを確かめに歩いていった。

 

(ライオンかぁ。動物の中で一番強いっていってたなぁー)

テレビのライオンが頭にうかんだ。

 

(ぼくの親戚なんだ)

と思ったら、散歩の途中だが急にシッポに力が入った。ちょっと照れくさいが、ともかく自信がわいてくる。うれしさと誇らしさが一緒になって、お腹の底からこみ上げてくる。

 

こんな気分はめったにない。まったくもって、久しぶり。けれどもこの散歩、そろそろ三町目に近いと気がついた。にわかに頭の中に黒い影が走った。歩道の途中には、犬のシロがいるのだった。

 

トップページ     前のページ   次のページ

 

イギリス産・自然素材にこだわったキャットフード『アランズナチュラルキャットフード チキン&ターキー』