大人の童話館

自作の創作童話やエッセイなどを投稿していきます。

2、のろまのドン太はカタツムリ - 元気があふれる

 

タツムリと黒アリの二匹。互いに火花を散らしていたが、

やがて別れた。

 

黒アリにのろまと罵られて悔しかったドン太。

でも、自分ではこれっぽっちものろまだなんて思っていない。

 

これが自分のペースで、自分らしく歩いているだけだ。

それが一番だとも思っている。

 

ふいに、ビュービューと強い風が吹いてきた。

大きな木の梢がゆらゆらと揺れ動いた。

 

強い風が吹いてくる方向に、まっすぐに顔を向けた

ドン太。ドン太は、風に向かってまた歩き始めた。

 

風に飛ばされないよう身体に力を入れる。

背中の渦巻きの殻が、ブルブルと震えている。

 

強い風に向かって力強く歩くドン太。

すると、なぜか勇気が湧いてくる。ドン太の気持ち

も前へと進む。

 

「のろまだなんて、誰にも言わせない」

心の中で叫ぶと力が湧いてくる。ますます、

体中に活気がみなぎってくる。

 

雲が切れて、お日様が顔をだした。

ふと、前を見ると、ドン太は色とりどりの花畑

に出た。

 

赤や黄色、紫など色々な花たちが、鮮やか咲き乱

れている。

 

まっすぐに長く伸びた花の茎が、上に上にと伸び

ている。緑の葉も生き生きとしている。

 

みんな一生懸命にお日様に向かって、

元気いっぱいに背伸びしている。

 

 

ドン太の頭上を何かが飛んで行った。

ドン太は顔を上げた。

すると、ニコッとした。

 

嬉しい気持ちがドン太の顔に現われている。

大好きなモンシロチョウのチョウ子さん

だったからだ。  

 

チョウ子さんは、美しく優雅に、ヒラヒラと舞う。

花から花へと軽やかに移動する。

その姿が、本当に美しい。

 

どんな花よりも素敵だ。

ドン太は、いつも見惚れてしまう。

 

「あら、ドン太さん」

チョウ子がドン太に声をかけた。白い羽を広げて、

明るい日差しの中を降りてくる。

ドン太のそばに止まり、左右の羽を背中でピッタリ

と閉じて、ニコリとドン太に微笑んだ。

 

近くで見ると、やっぱりきれいだ。

まぶしいくらいだ。

 

ドン太はドキドキして、思わず目をそらした。

少しだけ顔を上げた。チョウ子さんが笑っている。

ドン太の顔が真っ赤になった。

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