動物の童話
大きな木の下に小さな家があった。ネズミの夫婦が住んでいた。ネズミの夫婦は働き者同士だった。中でも奥さんは、まだ若いながら近所でも評判の働き者で、しかもなかなかの美人だった。そんなネズミの夫婦は、まだ新婚ほやほやだった。
ドン太は、空を飛んでみたいという夢を持っていた。でも、自分はカタツムリだから、ムリと諦めていた。夢は夢であり、憧れはとどかないものとだとも思う。だから、チョウ子の白い羽がうらやましくて仕方なかった。
辺りはお日様がいっぱいだった。だけど、雨は一晩中降った。おかげで、花も葉っぱも、まだぐっしょりと濡れている。葉っぱの先についた雨のしずくが、キラキラとお日様をはね返す。
カタツムリと黒アリの二匹。互いに火花を散らしていたが、やがて別れた。
のろまのドン太はカタツムリ 。明るい森の道で黒アリとであい、罵り合う。
ピンク色のクチバシをパクパクと動かせながら、 一生懸命に話しかける白い文鳥。真剣な眼差しで 訴えかけるように、 「本当に自分の幸せを願うなら、まずはみんなの 幸せを願うべきじゃないでしょうか・・」 と、言います。 「うん、うん。そうだね」 と、眠…
シロは、高ぶる気持ちを落ち着けると、 「・・あなた、ご主人たちは感謝するど ころか、なぜかすごく怒って、ミーチェを 追いかけ回すんですって。ミーチェは、 言っていました。 人間はどうして、こうも分からず屋なんだ ろうって。わたし、ミーチェがかわ…
父さんが働いているから大丈夫だよと言 いたかった一平。 しかし、文鳥のシロの勢いに気圧されて、 黙って聞いていました。 シロが真剣な顔をして、 「食べ物がなくなってしまったら、人間たちはどうす るんだろうって。だって、いくら人間だって食べな りゃ…
文鳥と犬とネコが、額をよせ合って相談しているという。 課題は、“じょうずに人間に飼われるためには”とか、 “いかに人間とつき合うか”などだそうです。 一平はビックリしました。文鳥や犬やネコたちが、 そんなことを話し合っているなんて思ってもみま せん…
ピンク色のくちばしを震わせながら、 一平を見つめる文鳥のシロ。 そんなシロに向かって、 「お前だって家族の一員なんだよ。 そんなお前を嫌うやつがあるかい」 と、言ってやりました。 「そうでしょうか」 「うん、そうだよ。そんなの決まっているじゃん」…
ピョンピョンと跳ねながら、 一平に近づく文鳥のシロ。 「わたし、じつはそのことで、おとなりの犬の クロに、相談にのってもらったんですよ」 「へっ、犬にかい?」 一平はビックリしました。 文鳥と飼い犬のクロとが、顔を突き合わせて相談する。 そんな光…
一平は勉強机の椅子に座り直していました。 すると、腕を組み、文鳥のシロを黙って見下 ろしていました。 「なんで、家出なんかしたの?」 と、一平が聞くと、シロは静かに顔を上げて、 「聞いていただけますか?」 と、訴えかけるように言うのです。 「うん…
ピンク色したクチバシをほんの少し開けたままの 文鳥の顔が、一平に向きました。 文鳥は、頭を傾けたまま、いつまでもじっと、 一平を見つめていました。 「なんだ、おかしや奴」 しばらくの間、一平と文鳥はお互いに見つめ 合っていました。 一平は、そぉー…
大きな木の上にすずめの巣がありました。 巣では、お母さんすずめの横で子すずめが、 夜空を見上げていました。 星空のきれいな夜でした。 お星さまの一つ一つがキラキラと輝いていました。 すずめの子はいつまでも見上げていました。 「ぼうや、何を見てる…
川の神様を目の前にしたクーちゃん。 緊張しながら、 「あの~、これ、川の神様に食べてもらおうと思って」 と、ビクビクしながら水草のサラダを差し出すのでした。 それを見た川の神様はうれしそうに笑いながら、 「おお、これは水草のサラダじゃないか。 …
水の妖精のおねえさんは、 クーちゃんをみてニッコリとしながら、 「あなたね、この水草のサラダを持って川の神様 に差し上げてらっしゃい」 と言うのです。 そう言うと、水の妖精のおねえさんは、 その水草のサラダの上から、なんとお塩をタップリ と振りか…
「あら、あなた、どうしたの。どうして泣いているの」 そのとき目の前に現れたのは、水の妖精のおねえさんでした。 さっきから泣いているクーちゃんの様子をうかがっていた のでしたが、あまりに気になったので声をかけたのでした。 透きとおるような白い輝…
川面にちょっとだけ顔を出して様子をうかがう川の神さま。 怒ったコワイ顔をして川原を見回すと、 小熊が小石を川に向かって放り投げながら、 楽しそうに遊んでいるではありませんか。 「さては、あいつじゃな。よくも、このわしの頭を! よーし、奴を川に引…
ここは静かな森の中。 ついさっきまで、激しく降っていた雨が上がり、 お日さまが顔を出していました。 森は明るい日ざしでいっぱいになっていまいた。 いままで木々の間にかくれていた小鳥たちが顔を出しました。 小鳥たちは雨が上がったことを確かめるよう…
要するに、ボクと姉、どっちが上でどっちが下か。 自分も含めて、犬から見た縦の順位に従って行動する、 それが犬というものなのです。 これは、先祖であるオオカミたちが群れて生活していた頃の名残です。 1つの群には徹底した縦社会が構築されているので…
立派な森のかわら版を、“ウソばっかり”と言うピョン子。チュー助は、わが耳を疑った。