便利な空飛ぶ古新聞2- 舞い上がる古新聞
ぼくを乗せて飛ぶという古新聞。そんなことってあるの?
でも・・、ものは試しだ。
「新聞紙よ、飛べ。ぼくを乗せて空を飛べ」
ぼくは、大きな声で言った。
すると、ガサガサと音を立てて古新聞が震えた。
畳んでおいたものが勝手に開いた。
折り目がなくなって、一枚の板みたいになった。
そして、なんと、ぼくの腰の辺りでプカリプカリ
と宙に浮いている。
「うっそぉ~~」
思わず叫んだぼくは、眼を丸くした。
「あっ、あんた、何したの?」
と、ママが叫んだ。
額に手をあてて、フラフラと倒れそうだ。
パパがやっとこさママを支えている。
そのパパだって、ポカーンと口を開けている。
今にもメガネがずり落ちそうだ。
でも、ぼくは何もしていない。
ただ、書いてあるとおりに言っただけだ。
そしたら、本当にこうなっちゃったんだ。
ぼくは、そっと乗ってみた。
一人乗るのにちょうどいい。
これじゃ、まるっきり魔法のジュウタンだ。
「危ないから、ダメッ」
ママが心配そうだ。
なに、平気さ。だって、そう書いてあるのだから。
スッス~イと、ぼくは空へと舞い上がった。
遠くの山が手に取るようだ。ちょっと寒い。
でも、わくわくする。怖いけど、やっぱり楽しい。
クイィと首を曲げて下を見る。
ぼくの町が、まるでオモチャみたいだ。