6、雪ダルマのオバケ- 雪遊び
翌朝、目をさました正太が、部屋の窓から外の景色を見ると、
どこもかしこも雪でまっ白でした。
目の前に広がる一面の銀世界。
寒いのも忘れて、正太の顔がニコニコと笑っていました。
正太は、ザク、ザクとレインシューズが雪を踏む足音を
聞きながら、学校へと向かっていました。
少しぬかるんだ慣れない雪道を用心深く歩きながら、
ようやく学校に着くと、教室の机にランドセルを置き、
さっそくグランドに飛び出していきました。
小学校のグランドでは、
みんな楽しそうにはしゃいでいました。
雪合戦をしたり、雪ダルマをつくったり、
小さな雪山を作る女の子たちがいたり、
授業の始まる時間も忘れてしまいそうです。
「雪がたりないよ~~。これじゃあ、
グランドの砂がまじっちゃう」
正太が振り向くと、
大きな雪玉を転がしているたかしが、顔をしかめています。
「大丈夫だ。まかせろ!」
正太がポンと自分の胸を叩いて言います。
クイィと顔を持ち上げた正太。空に向かって大きな声で、
「おお~い、雪ダルマのオバケや~い! 雪が足りないぞ~!」
と、叫んでいるのでした。
すると、そんな正太の声に応えるように、
サラサラ、サラサラと空から大つぶの雪が
降ってくるのでした。
みんなビックリして、正太に顔を向けていました。
得意げになった正太は、
「雪ダルマのオバケに、頼んだんだ」
と、ニッコリしていうのです。
「うっ、うっそ~~」
思わず叫んだたかしに、
正太がお腹をかかえて笑っていました。
すると、たかしもみんなも、大きな声で笑い出していました。
分厚い雪雲が、お空を覆っていました。
その雲の間から、雪ダルマのオバケがヒョッコリと顔を出して、
炭で描いたような目と口でニコニコしながら、
ずっと正太たちを見つめているのでした。
おわり