便利な空飛ぶ古新聞3 - 古新聞で空を飛ぶ
すっご~い。片付けていた古新聞に乗って、ぼくは、
今、空を飛んでいる。
『知らなかった。そうか、古新聞って空を飛ぶものなんだ』
そう思って、ぼくは感心した。
こんな便利なもの捨てるなんてもったいない。
地上に下りて他の古新聞を見ると、なるほどみんな、
『飛ぶ』と書いてある。
なんでいままで気づかなかったんだろう。
それからというもの、ぼくの家では、
みんな古新聞に乗って出かけた。
ママは、PTAの会合へ、買いものへ、
さっそうと古新聞に乗って行った。
「たちまち人気者よ!」
と言って、ニコニコ顔だ。
パパはやっぱり、通勤の足にした。
なにせ空の上だ。邪魔なものなんて何もない。早いし、
歩かなくっていいし、ヒョ~イと満員電車を抜いていく、
「最高だね~」
と言って、お腹を抱えて笑っている。
もちろんぼくだって、学校へ、塾へ、古新聞に乗っていった。
歩いたら十分はかかる学校も、これなら一分とかからない。
こりゃ、いいや。朝もゆっくりテレビを見ていられる。
少しぐらい寝坊したって大丈夫。
スゥ~イって飛んでいけばいいんだ。